手紙には、必ず一枚におさめる手紙がある一方で、一枚に収まってしまった時にわざと白紙の便箋を重ねて二枚以上にする手紙とがあります。そして、その意味・由来はひとつではなく、いくつかの謂れがあるのをご存じですか?

このページでは、便箋の枚数の使い分けと、その理由について解説しています。

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手紙の内容によって異なる便箋の枚数マナー

1枚におさめる手紙

重なるイメージがタブーとされる弔事の手紙は、「不幸が重ならないように」という意味を込めて一枚の便箋におさめます。

2枚以上に重ねる手紙

通常の手紙では、内容が一枚におさまる場合は、白紙の便箋を重ねて二枚にします。

白紙の便箋を重ねて二枚にする理由

1枚で書き終わってしまった便箋に白紙の便箋を重ねる意味・由来には、いくつかの謂れがあります。

三行半(離縁状)や果し状など、縁起が悪いとされる種の手紙が1枚切りの書状なので、縁切りを連想させる1枚の手紙は失礼とされたから。

昔は紙が貴重だったこともあり、返信用の便箋を用意する相手を気遣っていた。

1枚だけだと裏側から透けやすく他人にも読めてしまうため、透けないようにするための心遣い。

昔から短文の手紙は失礼にあたるとされたことから「文面は1枚で終わってしまったが、本当はもっと書きたい」という気持ちを白紙であらわした。

封筒についても同様のマナーがあり、弔事やお見舞いには一重の封筒を使用し、通常は二重の封筒を使用する。弔事やお見舞いの手紙も「重なる」ことをイメージさせないために便箋を1枚におさめることから、封筒のマナーと混同されて広まり、通常の手紙が1枚になってしまった場合は白紙を重ねて送るようになった。

いずれにしても「礼を尽くし、敬意を払い、縁起を担ぐことを好む日本人らしい文化」と言えるのではないでしょうか。

白紙の便箋は上?下?正しい重ね方

白紙の便箋は、1枚目の便箋の下に重ね、書いた手紙が内側になるように折ります。

「2枚目の手紙の代わりに添える」という役割を考えるとわかりやすいですね。

後付け(日付・署名・宛名)だけを2枚目に書いても大丈夫?

一枚目の最後が「結語(敬具など)」で終わってしまったとき、2枚目に後付け(日付・署名・宛名)だけを書くことは失礼にあたります。

改まった相手や目上の相手に対しては特に、次のように工夫してみてください。

  • 手紙の内容や表現を工夫して、本文が2枚目にかかるように書き直す。
  • 後付けまでがバランス良く納まるように字間や文字の大きさを変える。

時代とともに変わるマナー?!

現在は、白紙の便箋を重ねるマナーがそれほど重要ではないという意見も少なくありません。
その主な理由としては、

  • パソコンや携帯電話を利用した電子メールなど、優れた通信手段の普及によって手紙を書く機会が減り、伝統的なマナーやしきたりに対する意識が薄れたこと
  • 環境問題への取り組みが重視される中、白紙の1枚は資源の無駄使いであり、時代の変化とともにマナーも変わるべきであるという意見

などがあげられますが、やはり正式な場面においての手紙や、日本の伝統を重んじる相手に対しては、白紙をつけるか2枚目にかかるように手紙を書くことが「無難」といった意見もあります。

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